医療法人の認可が分かりません。

Q.私は内科の医師であり、都内でクリニックを経営しています。クリニックは盛況で、開設以降、患者数が順調に伸びています。それに伴い、個人所得も当初の3倍となりました。
 更にクリニックを発展させるためにも、私は法人化することにしました。そこで、株式会社を設立するときのように定款を作成しました。登記をするべく準備を進めていたところ、友人から「都道府県の認可が必要なのでは?」との指摘を受けました。確かに医療法人は、都道府県の認可が必要なようなのですが、私がこのことを知った時、今年度の医療法人の設立認可申請書の提出期限は既に過ぎていました。なぜ私は今年度の申請を諦めるよりほかなかったのでしょうか。

<解答>
医療法人設立は届出制ではなく都道府県の認可制です。また、届出をすればすぐに、都道府県から認可が下りる、というものではありません。なお届出は通常、受付は年2回(自治体によっては3回)ですが、受付期間を過ぎれば、申請することはできません。

正しい対応をするためには
1)計画的に取り組む姿勢が、望ましい医療法人設立においては重要です。
2)医療法人設立認可に関する年間計画が、都道府県の保健局のホームページに掲載されていますので、ぜひ参照してください。
3)申請の機会は多くの自治体で年に2度あります。そして、申請受付の前に設立説明会が行っている場合もあるので、これに参加し、申請書類の種類や作成方法の理解を深めておきましょう。
4)仮申請から、審査、認可を経て、法人としての診療活動を実際に開始するまでには、半年ほどの期間を想定しておきましょう。

[税法等の解説]
医療法人設立の認可申請手続き
①医療法人設立を予定する者のみが、医療法人設立認可申請手続を行えます。
②提出書類、受付方法をしっかりと理解した上で、医療法人設立認可申請に臨みましょう。

設立認可までのスケジュール(東京都の場合)
 まず、9月初旬の申請仮受付期間の後、同年の12月までが設立認可審査期間となります。
 その後、設立認可申請書の本申請を行います。医療審議会での諮問および答申が翌年の1月末に行われます。ようやく『設立認可書』が交付されるのは2月中旬から下旬にかけてです。
 つまり、設立申請を行ってから認可を受けるまでに、5~6ヶ月間の期間を要するということです。

申請書仮受付の書類
 医療法人設立認可申請書として、次ページに挙げる書類を不足の無いよう準備してください。
 なお、書類一式は、郵送または持込み以外では受理されませんので注意が必要です。
 また、提出書類への押印も禁止です。そして、謄本や印鑑証明等は原本ではなくコピーを添付してください。
 受付は、このルールに従って行わなければ受理されません。

申請に必要な費用
 申請や認可の費用は特にありません。無料です。

申請にかかわる質問(東京都の場合)
 質問はファクシミリで受け付けています。電話での質問は受け付けません。都道府県によって対応は多種多様ですので、ホームページ等を参照する必要があります。

医療法人設立認可書類一覧(平成24年東京都の場合)
項目 様式 注意事項
医療法人設立認可申請書 1 日付は東京都が指定した日
定款(寄附行為)
設立総会議事録 2 仮受付より以前の開催日付
財産目録 3 基準日あり
財産目録明細書 4 基準日あり
不動産鑑定評価書 不動産を拠出する場合
減価償却計算書 5 基準日あり
基金に関する書類 6-1~4 基金制度を採用する場合
預金残高証明書 発行日から3ヶ月以内のもの
負債内訳書 7-1、2 基準日あり
負債説明資料 8
負債根拠資料 (例)工事請負契約書、領収書等
債務引継承認願 9-1~3
リース物件一覧表 10 物件名、数量、業者名簿等を記載
リース契約書(写し) 現行のものの写し
リース引継承認願 11
役員・社員名簿 12 基準日あり
履歴書 13 設立総会の日付
印鑑証明 できるだけ新しいもの
委任状 14 設立総会の日付
役員就任承諾書 15 設立総会の日付
管理者就任承諾書 16 設立総会の日付
管理者医師免許証(写し) 原寸大
理事長医師免許証(写し) 原寸大
理事医師免許証(写し) 原寸大
医療施設の概要 17
周辺の概略図 最寄駅等、交通経路を表示する
建物平面図 1/100,1/200程度のもの
不動産賃貸借契約書(写し) 現行のものの写し
賃貸借契約引継承認書(覚書) 18
土地・建物登記事項証明書 契約の目的物となっている建物等
事業計画書(2ヵ年又は3ヵ年)20 
予算書 21
予算明細書
職員給与費の内訳書
実績表(2年分) 24 設立場所における実績が浅い場合(確定申告の場合等)は直近までの試算表を添付すること
確定申告(2年分) 申告受領印付の写し全部(付表を含む)
診療所の開設届けの写し 個人診療所の開設実績のある場合
※拠出(寄附)申込書の添付は不要です。

新たに開設する医療法人は、現在の診療所を2年以上、個人で開設している場合は、
・様式14の『委任状』、
・様式20の『設立後2年間の事業計画』
・様式21~23の設立後2年間の予算書
上記の提出を省略することが可能です。
なお、この場合の診療所は、医師または歯科医師が1人ないし2人常勤する診療所のみを指します。
また、添付することが可能な書類として、過去2年分の黒字確定申告書が挙げられますが、その場合は医療法人設立後2年間においても事業変更がないことが条件となっています。

税理士からのPOINT!
 許可制を採用する医療法人化においては、申請時期が決まっています。申請時期を確認して設立の準備を進めていくことが必要となるでしょう。

運営会社について教えてください

運営会社は辻・本郷税理士法人大分支部です。

辻・本郷税理士法人大分支部

所長:河野 太一
電話番号:097-532-2748
FAX:097-538-7006
事務所住所:〒870-0035 大分県大分市中央町1-1-3 朝日生命大分ビル4階
JR九州/大分駅 徒歩5分

辻・本郷 税理士法人

平成14年4月設立。全体のスタッフは650名(関連グループ会社を含む)。医療、税務コンサルティング、相続、事業承継、M&A、企業再生、公益法人、移転価格、国際税務など各税務分野別に専門特化したプロ集団です。弁護士、不動産鑑定士、司法書士との連携により顧客の立場に立ったワンストップサービスとあらゆるニーズに応える総合力で5000社超のお客様とお付き合いさせていただいています。

会社名 辻・本郷 税理士法人
設立 平成14年4月1日
住所 〒163-0631 東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル 31階
TEL/FAX 03-5323-3301(代) / 03-5323-3302
代表者 本郷孔洋
役員
理事長 本郷孔洋
副理事長 徳田孝司
常務理事 藤田裕
木村信夫
   
理事 楮原達也
酒井啓二
小山内好毅
宮村百合子
サービス 法人税務顧問サービス
税務セカンドオピニオン
事業承継(事業継承)・相続
事業再生・企業再生・M&A
事業再編
人事・財務・経理アウトソーシング
小規模事業者向け仕訳・記帳・申告サービス(経理宅配便(R))
IT支援コンサルティング
会計税務セミナー企画・開催・講師派遣
相続税対策・申告サービス
会社設立支援
海外進出時の支援
国際税務顧問サービス
移転価格コンサルティング
医院(クリニック)開業支援サポート
医療法人設立サポート
医療法人向け事業継承サポート
医療法人向け会計・税務サポート
歯科医院向け仕訳・記帳・申告サービス(歯科・経理宅配便)
ドクター向け確定申告サービス(確定申告宅配便)
医療事業部へのお問い合わせ
社会医療法人・特定医療法人移行サポート
公益法人・一般法人税務顧問
社会福祉法人コンサルティング
新地方公会計制度導入支援
新地方公営企業会計制度導入支援
固定資産台帳(公会計管理台帳)整備支援
自治体向け勉強会・セミナー並びにコンサルティング
その他のラインナップ
環境コンサルティング(太陽光発電関連サービス)
全国支部
青森支部【青森県】
  • 〒030-0861 青森県青森市長島2-13-1 AQUA青森スクエアビル4階
  • TEL:017-777-8581 / FAX:017-721-6781
八戸支部【青森県】
  • 〒031-0072 青森県八戸市城下4-25-5
  • TEL:0178-45-1131 / FAX:0178-45-5160
秋田支部【秋田県】
  • 〒010-0954 秋田県秋田市山王沼田町6-34
  • TEL:018-862-3019 / FAX:018-862-3944
盛岡支部【岩手県】
  • 〒020-0021 岩手県盛岡市中央通2-11-18 明治中央通ビル5階
  • TEL:019-604- 6868 / FAX:019-604-6866
遠野支部(遠野相続センター)【岩手県】
  • 〒028-0542 岩手県遠野市早瀬町2-4-21 遠野公文会館2階
  • TEL:0198-63-1313 / FAX:0198-63-1317
一関支部(一関相続センター)【岩手県】
  • 〒021-0031 岩手県一関市青葉1-6-4 シャトレー壱號館 204号室
  • TEL:0191-31-5271 / FAX:0191-31-5275
仙台支部【宮城県】
  • 〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町1-11-9 仙台リエゾン2階
  • TEL:022-263-7741 / FAX:022-263-7742
新潟支部【新潟県】
  • 〒950-0087 新潟県新潟市中央区東大通2-3-28 パーク新潟東大通ビル5階
  • TEL:025-255-5022 / FAX:025-248-9177
上越支部【新潟県】
  • 〒943-0892 新潟県上越市寺町3-8-8
  • TEL:025-524-3239 / FAX:025-524-3187
館林支部【群馬県】
  • 〒374-0025 群馬県館林市緑町2-24-8
  • TEL:0276-72-0917 / FAX:0276-72-0927
大宮支部(大宮相続センター)【埼玉県】
  • 〒330-0854 埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5 ソニックシティビル17階
  • TEL:048-650-5211 / FAX:048-650-5212
川口支部(川口相続センター)【埼玉県】
  • 〒333-0841 埼玉県川口市前川町2-1754
  • TEL:048-268-0633 / FAX:048-268-0692
吉祥寺支部(吉祥寺相続センター)【東京都 武蔵野市】
  • 〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-14-5 吉祥寺本町ビル7階
  • TEL:0422-28-5515 / FAX:0422-28-5516
渋谷支部(渋谷相続センター)【東京都渋谷区】
  • 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-15-1 渋谷クロスタワー13階
  • TEL:03-6418-6761 / FAX:03-6418-6762
横浜支部【神奈川県】
  • 〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸1-11-11 NOF横浜西口ビル4階
  • TEL:045-328-1557 / FAX:045-328-1558
湘南支部(湘南相続センター)【神奈川県】
  • 〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢496 藤沢森井ビル6階
  • TEL:0466-55-0012 / FAX:0466-55-0032
小田原支部【神奈川県】
  • 〒250-0011 神奈川県小田原市栄町1-8-1 Y&Yビル6階
  • TEL:0465-40-2100 / FAX:0465-40-2101
伊東支部【静岡県 東部】
  • 〒414-0002 静岡県伊東市湯川1-3-3 上條ビル5階
  • TEL:0557-37-6706 / FAX:0557-37-8988
名古屋支部【愛知県】
  • 〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄4-2-29 名古屋広小路プレイス7階
  • TEL:052-269-0712 / FAX:052-269-0713
四日市支部【三重県】
  • 〒510-0822 三重県四日市市芝田1-3-23
  • TEL:059-352-7622 / FAX:059-351-2988
京都支部【京都府】
  • 〒600-8009 京都府京都市下京区四条通室町東入 函谷鉾町79番地
    ヤサカ四条烏丸ビル6階
  • TEL:075-255-2538 / FAX:075-255-2539
大阪支部【大阪府】
  • 〒541-0045 大阪府大阪市中央区道修町4-6-5 淀屋橋サウスビル6階
  • TEL:06-6227-0011 / FAX:06-6227-0063
岡山支部(岡山相続センター)【岡山県】
  • 〒700-0815 岡山県岡山市北区野田屋町1-1-15 岡山桃太郎大通りビル7階
  • TEL:086-226-8555 / FAX:086-226-8556
広島支部【広島県】
  • 〒730-0051 広島県広島市中区大手町2-11-2 グランドビル大手町9階
  • TEL:082-228-8220 / FAX:082-223-2188
福岡支部【福岡県】
  • 〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神1-3-38 天神121ビル6階
  • TEL:092-715-6901 / FAX:092-715-6902
大分支部【大分県】
  • 〒870-0035 大分県大分市中央町1-1-3 朝日生命大分ビル4階
  • TEL:097-532-2748 / FAX:097-538-7006
沖縄支部【沖縄県】
  • 〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち4-19-14 八重洲第7ビル5階
  • TEL:098-941-3230 / FAX:098-941-3231
グループ会社
辻・本郷 ビジネスコンサルティング株式会社
  • 事業再生・企業再生コンサルティング業務
  • M&Aアドバイザリーサービス業務
  • 事業再編コンサルティング業務
  • 事業承継コンサルティング業務
CSアカウンティング株式会社
  • 会計アウトソーシング業務
  • 会計人事コンサルティング業務
株式会社アルファステップ
  • 不動産に関する業務
  • 生命保険及び損害保険に関する業務
株式会社総務部本郷

有限会社 人と組織の研究所

基金拠出型法人に対する税務上の改正について

基金拠出型法人は法人税、消費税、地方税等において改正がありました。

解説

①交際費等の損金不算入制度
資本金又は出資金額が1億円以下の法人に関する交際費課税は、年間600万円の限度額で定額控除が行われます。基金拠出型医療法人とは出資者がいない法人なので、別途決められた方法で計算された金額についてを資本金等の情報に応じたものとして判断されます。

期末総資産簿価-期末総負債簿価-(当期利益または当期損失)×60%
※利益が計上されていれば金額を控除、但し、損失が出ている場合はそれを加算します。

②寄付金の損金不算入制度
事業年度の所得金額の2.5/100相当額です。

③消費税
新設の基金拠出型医療法人は出資ではなく、基金拠出となるため、設立から2期にわたって消費税の納税義務者から外れます。

④均等割(住民税)
出資金額がない法人のため、各税率表の最低金額となります。

⑤基金の相続税評価
今まで医療法人の出資持分の相続税評価は、一般法人における「取引相場のない株式」に沿って考慮されていました。つまり、相続税の財産評価基本通達は下記によって導き出されます。

1.類似類似業種批准価額方式
2.純資産価額方式
3.類似業種批准価額方式と純資産価額方式の折衷方式

上記の方式により、非上場株式と同様の評価としますが、通常の営利法人を対象にしているため、評価方法の妥当性が問題視されています。財産の時価評価が課税の前提になるため、資産の含み益にも課税されることになってしまいます。
しかし、医療法改正によって、基金拠出額は債権で評価できることになり、基金拠出以上の金額として考えられることはなくなりました。

基金拠出型法人を相続する場合の対象について

平成23年12月の時点では、基金拠出型法人を相続する対象決定の必要はないとされています。

解説

今までの医療法における医療法人相続に対する一番の問題は、取引相場の存在しない株式が出資持分となっており、その時の利率によって課税されていたという点にあります。医師及び歯科医師でなければ購入不可の株式が運営を考慮した環境として存在していました。したがって、換金に値しない価値のため、相続人がそのまま持分を取得するというのが今までの環境となっていました。
しかし、医療法改正後の基金拠出型法人は、出資ではなく拠出という点が大きく異なります。さらに、一定期間の経過後は基金の返還が打ち出されているので、相続税対策の必要はありません。但し、税制の状況により何らかの行動を起こす必要があるので、細心の注意を払うべきです。

基金拠出型法人の解散時の残余財産について

平成19年4月以降に設立された基金拠出型法人は、解散する際に残余財産を①国②地方公共団体③公的医療機関の開設者④財団または持分の定めがない医療法人⑤都道府県医師会または郡市医師会のいずれかに帰属させることができます。

解説

医療法人は下記の理由によって解散します。

①社員総会の決議
②社員の欠亡
③他の医療法人との合併
④破産手続開始の決定
⑤設立認可の取消し

今まで、医療法人の定款には「本社団が解散した場合の残余財産は払込済出資額に応じて分配する」というのが掲げられていました。つまり、出資額に応じた財産分配が公に認められていました。
しかし、裏を返すと、利益が生じた法人を故意に解散させることによって、残余財産(利益)の分配が可能になってしまうという点が問題視されていました。こうした行為は、医療法人の根幹にも繋がっている「非営利性」に即したものではなくなってしまいます。
だからこそ、医療法改正後は国、地方公共団体、他の医療法人等に残余財産を帰属させることによって、問題解決を図ることとなりました。
これからは、後継者がいない医療法人において、高額な設備投資や資産の購入は今後を見据えた行動を行うよう求められています。
ただし、平成19年4月より以前に設立された医療法人は、しばらく以前の医療法に沿った運営が認められています。

基金拠出の返還される時期について教えてください

拠出金が返還される時期は、設立総会もしくは定款で定めた年数を経過してからとされています。但し、当純資産が拠出金の返還に対する要件を満たしていない場合は、当初規定した年数を経過しても、拠出金を返還することはできません。

解説
拠出金の返還は初めに時期の設定を行います。返還時期を経過した後に開催する定時社員総会の決議が得られることによって基金の返還を行うことになります。
下記の3項目を合計した額が貸借対照表の純資産額を超えるのであれば、次年度の会計決算の決定を行う定時社員総会の前日までの分を、貸借対照表と比較した超過分を限度に拠出金を返還することができるようになっています。
①基金の総額
②時価評価の資産に対して、時価の総額が取得価額を超えるときは、時価を基準として評価したことにより貸借対照表上の純資産額が増加したとき
③資本剰余金の価額

なお、拠出金の返還に利息をつけることはできません。

参考
設立総会議事録より抜粋

第4号議案 拠出申し込み及び設立時の財産目録承認の件
議長は発言し、本法人設立の資産に、拠出を受けたいという旨を述べたところ、設立者から拠出するという旨の申し込みがあった。

○○ 預金 9,800千円
   合計 9,800千円

議長は拠出について全員に発表したところ、一同はこれを確認し、承認した。拠出は基金拠出契約による。なお、○○は発言し、当該拠出金について以下のように述べた。
医療法人社団□□が設立認可後10年間経過したあと、拠出者に返還することを要求すること。医療法人が解散した場合、他の債務の弁済後に拠出金を返還しなければならないこと。
拠出金は利子を付して返還しないこと。
議長は発言し、本法人設立時の純資産額は金9,800千円として、財産目録は別紙のようになると示した。一同はこれを承認し、本案は可決された。

定款より抜粋
第3章 基金
第5条 本社団は、その財政的基盤の維持を図るために、基金を引き受ける者を募集することができる

第6条 本社団は、基金の拠出者に対して、本社団と基金の拠出者との間の合意に従い返還義務(金銭以外の財産については、当該財産の拠出時の価格に相当する金銭)を負う。

第7条 基金の返還は、定時社員総会の決議によって行わなければならない。

2 本社団は、ある会計年度にかかる貸借対照表上の純資産額が、以下の金額の合計額を超える場合において、当該会計年度の次の会計年度の決算の決定に関する定時社員総会の前日までの間に限り、当該超過額を返還総額の限度として基金を返還することができる。
(1)基金(代替基金も含む)
(2)資本剰余金
(3)資産について時価を基準に評価を行ったことで増加した貸借対照表上の純資産額

3 前項の規定に反して本社団が基金の返還を行った場合、当該返還に関する職務を行った業務執行者及び返還を受けた者は、本社団に対して、変換された額を連帯して弁済する義務を負う。

4 前項の規定に関わらず、業務執行者が職務を行う上で注意を怠らなかったことを証明したときは、同項の責任を負わない

5 第3項の業務執行者の責任は免除することができない。ただし、第2項の超過額を限度として当該責任を免除できることについて総社員の同意がある場合、この限りでない。

6 第2項の規定に反して基金の返還がされた場合、本社団の債権者は当該返還を受けた者に対して、当該返還額を本社団に返還することを請求できる。

第8条 基金の返還に係る債権には、利息を付することはできない
第9条 基金の返還をする場合、返還をする基金に相当する金額を代替基金として計上しなければならない
2 前項の代替基金は取り崩すことができない。

平成19年4月1日以降の基金拠出型医療法人の特徴

平成19年4月1日以降の基金拠出型医療法人の特徴は次の5つです。
①基金の拠出者は拠出額以上の返還を受けられません。
②基金の変換時には利息を付すことは禁止です。
③金銭以外の財産拠出は、拠出時の価値に相当する金額を返還します。
④基金の変換は貸借対照表の純資産額から、基金の総額、資本剰余金を差し引いた金額が限度です。
⑤解散時に払込拠出額を超える残余財産は国や地方公共団体に帰属します。

解説

基金拠出型医療法人は「基金」制度によって構成された医療法人です。
「基金」とは医療法人の財産として拠出されるものであり、医療法人として設立されるために必要な金銭、土地、建物、診療設備などを拠出し、法人の運営に充てるものを指します。基金制度は、「剰余金の分配を目的としない法人の性格を維持しつつ、活動に必要な資金や資産を調達し、経営地盤の維持を量る制度」ということが掲げられています。

平成19年4月1日以降、新設される医療法人は、全て定款の記載方法や出資持分の定めがありません。解散する際の残余財産から払込拠出額を超えるものがあるのであれば、残余財産は全て国や公共団体に帰属することになります。
これは、医療の非営利性を高めるために厚生労働省が定めた規定なのです。

今までは、医療法人の残余財産は出資者個人を帰属先に設定しており、結果的に法人の利益分も含んだ部分が個人の持分とされていました。しかし、これからは出資持分に応じた払い戻しを残余財産から受けられなくなった点を注意しなければなりません。
つまり、医療法人設立の際の拠出額部分を超える部分に関しては出資者に戻らないことになります。さらに、返還される部分に関しても利息は付かないことになっています。
但し、金銭以外の財産拠出については、当時の価格で算出され返還となります。

また、基金の返還には定時社員総会での決議が必要となる点にも注意すべきです。
まず、当初の基金相当額を「代替基金」として計上します。理由としては、基金返還時に戻る総額が減ってしまうということを避けるためとされています。従って、基金部分の純資産が1億円とするのであれば、基金返還時には純資産が倍以上の最低2億円が必要になります。基金返還時の基金相当分は同じ金額で充当するのが理由となります。
この制度は代替基金の総額が減ってしまわないように作られたものであり、代替基金は意図的に取り崩すことができなくなっています。
※基金の返還に対する計算方法は複雑なため、税理士・会計士に相談すべきです。

残余財産の帰属先が制限されたのは、非営利性の高いより医療を提供するためです。基金拠出型医療法人は、解散時に残余財産は都道府県知事の認可を受けることによって、国や地方公共団体、又は特定医療法人や持分のない一般医療法人に帰属することができます。しかし、定款や寄付行為に残余財産に対する帰属先の明確な規定がない場合は、国に帰属しなければならないことになっています。
つまり、これからは法人を開業する時点で、解散した後の残余財産の帰属先を決める必要があるとされています。

基金拠出型法人と経過措置型法人の異なる点

基金拠出型法人は平成19年4月1日以降に設立された医療法人であり、持分の定めが無いものを指します。つまり、基金拠出型法人は新医療法制定後の医療法人を指すものです。一方、経過措置型法人は平成19年3月31日以前に設立された医療法人であり、持分の定めがある医療法人を指しています。

解説
(1)社団医療法人
基金拠出型法人
出資持分:なし
定款の記載方法:定めなし
残余財産処分:本社団が解散した時の残余財産は以下の者へと帰属させる。
(1)国
(2)地方公共団体
(3)公的医療機関の開設者
(4)都道府県医師会又は郡市区医師会
(5)財団医療法人又は出資持分なしの社団医療法人

経過措置型法人
出資持分:あり
定款の記載方法:定めあり
【出資額限度法人】
社員資格を喪失した者は、その出資額を限度として払い戻しを請求する権利がある。
【持分あり医療法人】
社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払い戻しを請求する権利がある。
残余財産処分:下記の通りである。
【出資額限度法人】
本社団が解散した場合の残余財産は、払込済の出資額を限度に分配する。当該払込済出資額を控除しても残余財産がある場合は、社員総会の議決によって知事(厚生労働大臣)の認可を得て処分する。
【持分あり医療法人】
本社団が解散した場合の残余財産は払込済出資額に応じて分配する。

(2)財団医療法人
基金拠出型法人
寄付行為の記載方法・残余財産処分
本社団が解散した時の残余財産は以下の者へと帰属させる。
(1)国
(2)地方公共団体
(3)公的医療機関の開設者
(4)都道府県医師会又は郡市区医師会
(5)財団医療法人又は出資持分なしの社団医療法人

経過措置型法人
寄付行為の記載方法・残余財産処分
本財団が解散した場合の残余財産は、理事会・評議員会の議決を経て、知事(厚生労働大臣)の認可を得てから処分する。

財団医療方法人については、経過措置型法人から基金拠出型法人へ移行しても、法人税、所得税、贈与税等の課税は発生しない。

事業報告書をはじめとした閲覧に関する規定

医療法人の社員、評議員、債権者から書類の閲覧に対する請求が行われた場合、法人側は開示する義務があります。但し、正当な理由がある場合には開示を拒否する事ができます。具体的には事業報告書等、監事の監査報告書、定款又は寄付行為に関する書類の閲覧請求ができます。

解説
(1)各事務所での閲覧
社団医療法人以外の医療法人は、下記にあげる書類を各事務所に保管する必要があります。社員、評議員、又は債権者から書類の閲覧に対する請求が行われた場合、開示を拒否するに値する正当な理由がなければ、開示を拒むことはできません。

(閲覧に供される書類)
①事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書
②監事の監査報告書
③定款又は寄付行為
上記は平成19年4月1日以降の会計年度からの適用になります。

(2)閲覧を拒むことができる「正当な理由」
事業報告書等の閲覧を拒むことができる正当な理由は、個人情報の漏えいや法人の業務に悪影響が与えられることが予想される場合、法人の執務時間外の閲覧に対する請求などがあげられます。

(3)都道府県での閲覧
都道府県に対する届出書類は、誰でも閲覧することが出来ます。都道府県に対して行われた届出書類は、理由を問わずに閲覧請求の内容に対しての義務が発生します。
過去3年間に提出された新様式の書類が対象となるため、事業報告書や監事の監査報告書など、都道府県へ提出されたものが全て対象となります。

決算時に作る必要がある書類の種類と各提出期限

医療法人が決算時に作る必要のある書類は、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書があげられます。これら必要書類は会計年度終了後から2ヶ月以内に作成する必要があります。

解説
(1)事業報告書等の作成
医療法改正によって、医療法人は会計年度終了後から2ヶ月以内に事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、その他厚生労働省令で定める書類の作成が規定され、医療法人運営に対する透明性の確保を図るために、医療法51条で義務付けられるようになりました。作成した書類は理事から監事に提出され、監事は提出書類の監査を行った結果をまとめ、監査報告書を作成する必要があります。

(2)事業報告書の記載事項

事業報告書は「医療法人の概要」「事業の概要」を記載する必要があります。

①医療法人の概要
以下の内容を医療法人の概要に対する報告書に記載する必要があります。

・名称
・事業所の所在地
・設立許可年月日
・設立登記年月日
・役員及び評議員

役員及び評議員には、理事長、理事、監事、評議員の氏名や職務を記載するのが一般的です。しかし、社会医療法人、特別医療法人及び特定医療法人を除いた医療法人は記載が義務付けられていません。従って、一般の医療法人の場合は役員及び評議員は記載する必要がありません。

②事業の概要
以下の内容を事業の概要に対する報告書に記載する必要があります。

・本業業務
・附帯業務
・収益業務

また、作成年度内に社員総会もしくは評議員会でこれらに議決又は同意した事項を記載します。

(3)都道府県知事への届出
以下の内容が記載された書類を、社会医療法人を除いた医療法人は、毎年の会計年度終了後3ヶ月以内に都道府県知事に届出する必要があります。

①事業報告書等
②監事の監査報告書

届出を怠った場合もしくは虚偽が発覚した場合は、20万円以下の過払いが必要になるので注意すべきです。

医療法改正による役員の見直しに関する項目

A.監事は今まで民法59条の規定に従って業務が構成されていました。しかし、第5次医療法改正実施後は、医療法によって監事の業務を明確化しました。監事の業務内容を医療法によって明確にすることで、医療法人の経営基盤が強化されるため規定されました。また、患者側に提供される医療の質的な向上や、法人内の運営の透明性を維持・強化する役割としても、監事は重要視されています。

解説
医療法改正前の業務は下記の項目の通りでした
①法人の財産状況の監査
②理事の業務執行状況の監査
③財産の状況や業務の執行に不正の疑いを発見した場合、総会または都道府県知事に報告すること
④前号の報告のために、必要に応じて総会を招集する

しかし、第5次医療法改正後は下記の通りの業務内容になりました。

①医療法人の業務監査